第9課:イブラヒムと隣人のいさかい
アブドッラー氏が同僚のイブラヒムに言います。
「一緒に店に行こうか?」
「僕は今晩、仕事には行かないよ。だって、警察へ召喚されているからね。」
「なぜ警察が君を召喚したんだい?」
「僕と隣人の一人の間のいさかいのためさ。」
「どうして、いさかいなんかになったんだい?」
「彼は夜中にウードを演奏するのが好きでね。僕は時々眠りから目覚めてしまうんだ。昨晩も3回起こされてね。それで3回目に僕は彼のドアをノックして、殴るぞと脅してやったのさ。すると、今朝になって警察へ出向いて、僕の脅しのことを訴えたんだよ。」
「警察は君を拘留しないのかい?」
「拘留されても怖くはないよ。だって僕は彼を殴っていないからね。ただ脅しただけだよ。」
「それじゃ、さようなら。」
「また明日。」
翌日、アブドッラー氏は店で同僚を見かけて、彼に尋ねます。
「警察署ではどうだった?」
「僕が行ってみると、隣人が警察官と一緒にいてね、僕が彼を殴るために棒を手に取ったと言っているんだよ。」
「君の家に棒があったのかい?」
「うん。僕は棒を手に取ったことは認めたけど、しかしそれは彼を脅すためで、殴るためじゃなかったんだ。」
「彼は、自分が時々夜中にウードを演奏することは認めたのかい?」
「うん。でも、隣人は一人を除いてみんな彼の演奏が好きだって言い張るのさ。」
「だれだい、その一人って?」
「僕のことさ。」
「それで、警察はどう言ったんだい?」
「隣人にはウードの演奏でみんなを目覚めさせることを禁じ、僕には棒で脅すことを禁じて、僕たちに仲直りを命じたんだ。」
「君たちは仲直りしたのかい?」
「ああ、仲直りして握手したよ。僕は彼と友人になれると思うよ。だって僕も音楽は好きなんだ。ただし、眠っていない時だけどね。」